英語学習界隈でたまに聞く「化石化 "fossilization" 」。英語力上達を目指すなら化石化は基本無視でOK
「間違った発音が化石化する」というのは、変な発音が癖づいてしまって直せなくなるということです。つまり化石化とは「間違った知識が癖づく」こと。
ただし化石化を心配する必要はありません。化石化するほど英語を使っていないからです。むしろ心配事が増え過ぎて英語学習のモチベーションが下がる方がよっぽど英語上達の障害になります。
化石化 "fossilization"とは
言語学習における化石化とは「間違って覚えた知識を使い続けることで、その間違いが癖づいてしまうこと」です。
化石化した間違い知識を修正しようとしても、癖になってしまっているので、直すのに大変苦労を要します。
化石→ fossil
化石化する→ fossilize
化石化→ fossilization
なので英語では fossilization と言います。なんと呼ぶかはさておき、「間違った知識が癖づく」という定義を頭に入れてください。
化石化の例
化石化にはどんな症例があるのでしょうか。
ざっくり分けると「発音」系と「文法」系に分類できます。
発音系は、 version 「ヴァージョン」を「バージョン」の様に、 v を b で代用し続けて癖づく。
文法系は、「運転中です」の様に進行形を使う場面で I drive now. の様に単に現在形を使い続けて癖づく。
ちなみにドイツ語では進行形がないので、
Ich fahre. → I drive. もしくは I am driving.
という特性があるので、ドイツ語話者にとって進行形が難しくなりがちです。日本人に a(n) と the を使いこなすのが難しい様なものです。
例を見ると、化石化は無視できない大きな問題な様に聞こえます。ではなぜ化石化は基本無視してOKなんでしょう。
化石化を無視していい理由
化石化を基本無視していい理由を2つの観点から見ていきましょう。
- いろんなことを気にするとやる気が下がるから
- そもそも癖づくほど英語を使ってないから
人は気にする事が多すぎるとモチベーションが落ちる生き物
化石化を無視していい理由1つ目は、やる気の低下です。
心理学の実験で、人は考え事がキャパオーバーすると思考停止し、さらにやる気が落ちることも証明されています。
参照:ダニエル・カーネマン「ファストアンドスロー」
そして言語学では、英語(含め全部の言語)学習に重要なのはやる気、モチベーションの維持だと言うのが定説です。
参照:白井 恭弘「外国語学習の科学-第二言語習得論とは何か」
つまり「いろんなこと考え過ぎてやる気が下がる→学習が続かなくなる」ことが一番避けたんです。
そもそも「英語を勉強している」人は癖づくほど英語を使っていない
化石化は間違った知識が癖づく事です。癖づくためにはそもそも普段から英語を使っている必要があります。
成人してから英語圏に移住し、英語を使い始めた人などに化石化がよく見られます。みんな例えば正しい文法、発音じゃないことは気づいていながらも「通じるから」、直そうとしていないだけです。
日本でインターナショナルスクールなど英語で会話のメインではない環境で何かが化石化することはあまり考えられません。例え間違った知識を持っていても、ちょっと意識すればすぐに正しいものへと改善可能なレベルです。
流暢さと正確さのバランスが一番大切
英語を身に付ける上で一番大切なことは学習を続けることです。世の中で一番効率的な方法で英語を2週間やってだけでは英語は身につきません。例え身についたとしてその後英語に全く触れなかったら一瞬で使えなくなります。学生のテスト前日一夜漬けみたいなものです。
ではどの様にすれば学習が続くのでしょうか。英語を使うことを苦痛に感じないことです。
「いい発音を意識しないと化石化しちゃうよ」「文法間違ってると伝わらないよ」。英語できるやつからダメ出しばっか食らったらやる気失せます。
だから「もっと流暢に話したい」メンタルのときは文法への意識を抑えめに、「もっと正確性を高めたい」メンタルのときは文法を普段より意識、みたいな形で自分がやりたい方法で改善を目指すのが一番です。