Common Words で Come On Forward !

-使える英語をお知らせします-

アレクサンダー・アーノルドはスカウサー(リバプールアクセント)

f:id:yuichi-football-ro:20210129112405j:plain 

「スカウサー 'Scouser' 」って聞いたことありますか。数ある英語アクセントでも特にリバプール地方のアクセント(スカウス 'Scouse' )で話す人を指します。

 

プレミアリーグリバプールに所属する Trent Alexander-Arnold トレント アレクサンダー・アーノルド」は生まれも育ちもリバプール。彼もスカウスアクセントで英語を話します。

 

今回は先日の「Totteham vs Liverpool」の試合後インタビューの映像を見て、スカウサーの話し方の特徴を見ていきましょう。

 

 

 

アレクサンダー・アーノルドのインタビュー映像

www.youtube.com

(英語字幕を付けてご覧ください。)

 

正直に打ち明けると、私も英語字幕なしでは聞き取りづらい箇所がいくつかあります。

 

特に 'setback after setback' の辺りは最初、頭に ? が浮かびました。

※以下URLから該当箇所に飛べます

https://www.youtube.com/watch?v=CpHT4z3wXfQ&ab_channel=BTSport&t=57

 

スカウサーの特徴

スカウスアクセントは特にどの様な特徴があるのでしょう。アレクサンダー・アーノルドのインタビューで際立っていたところを軸にいわゆる RP (Received Pronunciation 「標準的な発音」)と比較します。

 

 

最後の単語の語尾が上がる

スカウサーの特徴としてまず一番感じるのが、一文一文の最後の音が上がる、つまり若干疑問文っぽく聞こえることです。

 

インタビューでの該当箇所を聞き直してみてください。

 

' ... definitely it's what we needed ...'

https://www.youtube.com/watch?v=CpHT4z3wXfQ&ab_channel=BTSport&t=7

 

 needed の語尾が上がっていることが聞き取れます。

また直後の 'deserved' の語尾も RP と比べると不自然に上がっています。

 

 

'... obviously they had the early goal disallowed.'

https://www.youtube.com/watch?v=CpHT4z3wXfQ&ab_channel=BTSport&t=12

 

 disallowed の語尾も上がっています。

 

 

' ... yeah we got away with them.' 

https://www.youtube.com/watch?v=CpHT4z3wXfQ&ab_channel=BTSport&t=26

 

ここも最後の them の語尾が上がっています。

 

 

以上の様に、スカウサーの英語は文末(もしくは文節末)の単語の語尾が上がる傾向にあります。

 

アーノルドは正直あまり語尾が上がる様な話し方はしていませんが、スカウスの色が濃い話し手は全文の語尾が上がる勢いでスピーキングします。例えばこんな感じです。

www.youtube.com

 

右手の金髪の女性は話すときは基本、語尾が上がる様に話します。参考までに。

 

 

 /ʌ/ の音がより 'o' に近く

日本人が若干苦手にしている  /ʌ/ の音。この発音の代表格が but /bʌt/ です。

 

日本語の「あ」は発音するときに口を大きく開きます。ざっくり言うと「あ」と発音する感じで口を少しだけすぼめる(「う」と言うときの形に近づける」)とこの /ʌ/ っぽい発音ができます。

 

試しに /ʌ/ と /a/ を聞き比べてみてください。

www.lexico.com

www.lexico.com

 

本題はここから。スカウサーの場合、この /ʌ/ を発音するときは、さらに口の形をすぼめて「お」を発音するときの形で音を出します。

 

そうすることで /ʌ/ がより「お」に近い音に聞こえるのです。アーノルドが but を発音するところを聞いてみましょう。

 

' ... change the way that the game went on but ... '

https://www.youtube.com/watch?v=CpHT4z3wXfQ&ab_channel=BTSport&t=15

 

 but の発音が「バット」よりむしろ「ボット」に近づいているのが聞き取れます。

 

 

' ... we found the space in the first half really as well, but ... ' 

https://www.youtube.com/watch?v=CpHT4z3wXfQ&ab_channel=BTSport&t=42

 

こちらでも but の発音が RP のそれとは少し異なるのが聞いて取れます。

 

 

ちなみにこちらの動画でもスカウサーの  /ʌ/ の発音方法が取り上げられているので、ご参考ください。

※該当箇所から再生されます。

www.youtube.com

 

 

ck の発音方法

スカウサーの ck の発音方法は特に変わっています。私ごとでドイツ語を勉強中ですが、スカウサーの ck はむしろドイツ語の ch の音と類似しています。

 

まずは実際の音を聞いてみましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=CpHT4z3wXfQ&ab_channel=BTSport&t=57

 

 ck の音は英語のいわゆる k の音ではありません。ドイツ語の ch の様に喉の奥を震わせたときに出る音です。

 

こちらの音もこの動画に解説がありますので、ご参考までに。

※該当箇所から再生されます。

www.youtube.com

 

 

英語学習は楽しさと勉強を両面から考えよう 

英語を含む言語学習の一番のポイントは「一朝一夕で身につかないこと」です。知能指数が高い人でも、少なくとも2200時間以上は言語習得までに時間を有すると言われています。少なくとも、です。

 

「100時間がんばれ!」なら最悪気合で乗り切れるかもしれませんが、

「3000時間頑張れ!(毎日5時間を2年弱/毎日3時間を3年強)」は特に社会人になってからは正直無理です。

 

 

本気で英語を身につけたいなら、英語を勉強すること、そして今回の「スカウサーはどうやって話すんだろう」とか「英語はそんなに聞き取れないけど英語でドラマ見よ〜」とか自分が面白いな、と思える内容を組み合わせて、英語への興味を失わないことが一番大切です。

 

興味がないこと、楽しくないこと、インセンティブを生まないことを3000時間続けられません。まずは楽しいなー、かっこいいなー、という気持ちを失わない様に勉強を続けていきましょう!