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Jose Mourinho のインタビューから文法の非重要性を考える

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海外サッカー好きなら確実にその名を聞いたことがあるであろう Jose Mourinho 「ジョゼ・モウリーニョ」。母国語はポルトガル語で、その他にもその指導経験から英語、スペイン語、イタリア語を話します。他の言語は知りません。

 

母語ではない英語も流暢に話し、ンタビューなんかも英語でスラスラ答えます。ただし文法的に完璧に話すか、また接続詞、接続語をうまく使ってより自然に話を進めるかというとそうでも有りません。でも全く問題なく会話が進みます。

 

彼のインタビュー映像から文法の重要性を考えてみましょう。

 

 

モウリーニョのインタビュー映像

早速、先日行われたブライトン戦後に行われたインタビュー映像を確認しましょう。

www.youtube.com

 

レポーターが This win meant a lot, didn't it? 「この勝利は大きいですね」と尋ねたのに対してモウリーニョが答えました。(0:50秒まで)

 

回答は以下の様。

(It) Meant a lot. They felt on the pitch what we felt outside. (It was) Very difficult match, very complicated match. Ah, we had to react to the equalise (equaliser), and we did it. And then, after 2 posts, and 1 goal, and 15 minutes to play, we managed the 15 minutes in a good way. (There was) No more danger close to our goal, we kept them away, we kept some stability to the game, stability that we couldn't have for the 90 minutes, but for the last 15 we have that the stability and the control. And this is Premier League. Every point is good. 

※()内は私の訂正

 

彼の英語の感じを残したまま和訳するとこんな感じ。

「大きい。ピッチ外で私が感じたことを選手たちも感じてた。すごく難しい試合、すごく厄介な試合。追いつかれてから、選手たちがうまく対応して、試合に勝てた。それから( then は無い方が確実に理解しやすい)、2回ポスト、1点取って、あとさらに15分残ってたけれどうまく15分立ち回れた。自陣付近でピンチはなく、敵にチャンスを与えず、試合をコントロールした。90分コントロールできなかったが、最後の15分はできた。これがプレミアだ。どんな勝ち点も大切だ。

 

 

彼の意図は伝わったか

彼の英語はネイティブのそれではありません。しかし彼の言わんとしていることは確実に伝わります。細かい文法的なミス、そして接続語の欠落などは聞いて取れますが、理解を妨げる物では決してありません。

 

一点、途中で then と言っているのは、流れからしてちょっとミスリーディング、つまり聞き手の理解を妨げる可能性があります(あとで解説します)。

 

全体的にテンポよく言いたいことを言えており、インタビューへの回答としてなんの問題もありません。文法なんてある程度ミスしても通じます!

 

 

文法的なミスを考察

彼の返答から聞いて取れるのが、it is 、 there is 系統の省略です。もちろんネイティブもたまにしますが、ここまで省略を多用することは稀だと考えていいでしょう。「文法的間違い」ですが省略形でも全然通じます。

 

 

また文法的に必要な接続詞もちらほら欠如しています。英語では1節に動詞1つが基本です。

 

I love him, he loves me. ← ×

I love him and he loves me. ← ○

 

スピーキングなので、以下の様に「 him のあとは文が切れているんだ」とも考えられなくはありません。

 

I love him. He loves me. 

 

ただどのみち、接続詞を使わないとちょっと片言っぽく聞こえてしまう嫌いがあります。

 

極端な例ですが①「私これします。鈴木さんそれします。スムーズに行きます」はあまり自然には聞こえません。②「私がこれして鈴木さんはそれをしてくれるとスムーズに行くと思います」と言った方が自然です。

 

例えば英語では「して」の感じが and とか、「してくれると」が if とかを用いて表現します。ただし①でも意図は通じます。もちろんモウリーニョの英語はこんなに不自然ではありません。

 

もちろん程度問題ではあります。ただ接続詞がある程度欠如していようが、通じるものは通じるのです。

 

 

 then の問題点

彼が返答の途中で then を使った点は、少しミスリーディングでした。何故でしょうか。

 

 then は時間の流れを表す副詞です。

 

I went to the bookstore. Then I went to his house.

本屋に行った。それから彼の家に行った

 

彼は「勝ち越してから15分うまく対応できた」という趣旨の発言のあとに then を使っています。そして「2ポスト、1ゴール」と話が続きます。文字通り捉えると15分うまく守ったあとに勝ち越しゴールを決める、という解釈になります。

 

ただし本当の試合の流れは

同点に追いつかれてる→2回ポストを叩く→勝ち越す→残りの15分対応する

 

です。つまり then を使うことによってむしろ話がこんがらがってしまっているのです。

 

 

こんな形で、接続語や副詞を間違った箇所で使うとメッセージがうまく伝わらない可能性を生みます。また文法も例えば「昨日公園に行った」と言いたいのに現在進行形を使って

 

I am going to the park. 

 

と言えば、メッセージがうまく伝わりません。ただしこの様な基礎的なミスさえしなければ主語を省略しようが、ちょっと接続語が少なかろうが通じます。

 

 

英語でコミュニケーションを図るためには基礎の英単語と英文法を徹底的に極めること

モウリーニョの話も then こそ少しミスリーディングでしたが、それ以外致命的なミスはなく、全体を通して聞けば言いたいことは確実に理解できます。

 

話している内容をみてもサッカーでよく使う stability と equaliser を除いてそんなに難しい単語や文法を使ってません。ただそれをとても流暢に扱っているだけです。

 

兎にも角にも基礎。基礎ができれば大抵のコミュニケーションは成立します。